税制度の概要

税制度の概要

近年ミャンマー政府のイニシアチブにより事業環境整備が進むものの、近隣諸国対比では、依然高い困

法人税

ミャンマーの法人税(Income Tax)率は現在25%。一部上場企業については軽減税率の20%が一定期間適用される。従前設けられていた国内法人(内資)と外国法人(外資)の差異は現在は解消されている。

譲渡益課税についても従前は外国企業に対して40%と極めて高い税率を課していたものの、現状では国内法人・外国法人共に10%が適用されている。

固定資産の減価償却については、計画・財務・工業省の内国歳入局(Internal Revenue Department)が定めた償却率の範囲で計上可能となっている(例:建物15年~20年、機械装置10年、車両5年~20年)。

商業税の取り扱い

ミャンマーでは、他国で一般に課税される付加価値税(VAT)に相当する商業税を原則5%としている。商業税法(Commercial Tax Law 1990)では、タバコや酒類等に対して高い商業税を課しているものの、多くの商品・サービスが5%とされている。

また、商業税は、生産の各段階(企業間取引)で課税する一方、各供給業者が支払った税金について控除を認めることにより、結果的に最終消費者が税負担を行う形で設計。

企業は、仕入れ時に支払った商業税を仕入先から徴収するForm31によって売上税額から控除することが可能。但し、売上税額から控除出来ない仕入れ範囲の規定が不明確であり、税務署による実務運用上は直接的な関連性の薄い仕入税額も控除可能となっている。

租税条約の締結状況

2019年9月現在の租税条約締結国は10カ国、うち7各国が発行済みであり、日本とは依然締結されていない。この事は、日本企業がシンガポール経由での投資を増やすことの一因にもなっている。

締結済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、バングラデシュ、インドネシア、韓国、ラオス

発効済み:英国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インド、韓国

く法人〉

【課税年度】 10月-9月 ※2019年10月より9月期に変更
【税務申告期限】 年度末から3ヶ月以内(12月末迄) ※譲渡益課税については所得の発生の都度、資産売却日から30日以内に申告
【法人税率】
居住法人
非居住法人 (外国会社の支店等)
25% ※2015年4月の税法改正により、居住法人と非居住法人との間の税率の差異が解消
【譲渡益課税】
居住法人
非居住法人 (外国会社の支店等)

10% ※石油・ガス事業法人(40-50%)を除く
【配当課税】 非課税
【欠損金の繰越】 3事業年度 ※非居住法人(外国会社の支店等)は繰越欠損金は認められていない。

個人にかかる税金

年183日を超えて滞在する外国人には全世界所得課税が適用。所得税率は以下表の通り累進課税が適用されており、最高税率は25%となっている。

く個人〉

【対象となる外国人居住者】 年183日超の滞在者

※課税年度内(10月-9月)にミャンマー国内に183日を超えて滞在するものが居住者、
それ以外は非居住者

【課税対象(居住者)】 全世界所得 ※課税対象には、給与・賞与・手当その他の福利厚生費が含まれる
【課税対象(非居住者)】 ミャンマー国内源泉所得
【所得税率】 0一25%の累進税率 ※居住者共通(ミャンマー人・外国人)
※課税所得の税率は以下の累進税率が適用
1-200万チャット:0%
200万-500万チャット:5%
500万-1000万チャット:10%
1000万-2000万チャット:15%
2000万-3000万チャット:20%
3000万チャット超:25%
【譲渡益課税】 10%
【配当課税】 非課税